メロンができるまで

1.種蒔き

まだ雪が残る寒い3月。メロンの芽が一斉に目を覚ましはじめます。加温された床の中で、播種箱(はしゅばこ)というトレイに種を蒔き、計画表に基づき何段階にも分けら発芽させていきます。

2.移植作業

無事発芽すると、今度は移植作業を行います。移植とは簡単に言うと、発芽したメロンのお引越しです。 鉢に一本づつ丁寧に植え替えていきます。ぐんぐんと元気良く成長を続けるメロンの為にちょっと広めのお部屋にお引越ししてもらいます。

3.定植作業

お次は、ポットである程度成長したメロンを、栽培ハウス内に植え替える定植作業。メロンにとっては、ようやく自分の根を大地におろすことになります。ビニールで覆われる全面マルチングという方法をとることで、土中の温度の確保、ツルと土の接触による病気の軽減、雑草の生育防止などができます。

4.当園の温度管理

定植してから、10日後くらいのメロンです。だいぶ根も活着してきて、葉やツルも成長。当農園は全てのハウスに自動換気装置を導入し、設定した温度になると両サイドのビニールを常に開けたり閉めたり。メロンにとって一番適切な温度を確保しています。

5.摘芯作業

メロンが成長していく中で、いたるところから出てくる不要なツルや葉を摘んでいく摘芯作業。メロンづくりには重要な作業で、一株ずつ手作業で、丹念に行います。栽培方法にもよりますが、メロンは定植から収穫まで、摘芯を最低でも7~9回は繰返さないと良い花を咲かせてくれません。この作業が始まると、パートさんたちも総出で、2ヶ月間ハウスに、こもりっぱなしになります。

6.定植後の様子

定植してから25日後位の状況です。何度か摘芯作業を繰り返し、順調に生育。天候次第でメロンのツルは一日で5cmほど伸びるときも。ちょっと目を離すと、その成長ぶりにおどろかされます。

7.着果作業

定植から35日前後になって、ようやく雌花に花粉を受粉させて実を着ける「着果」の時期。この作業の立役者は、実はミツバチ。花を咲かせる時期になるとハウス内にミツバチを放して、一斉に交配させます。天気(温度)が良くなければ活発に活動しないので、お日様がとても重要。後々に良いメロンをつくるには、ここで失敗するわけにはいきません。

8.着果後の様子

着果後、1週間くらいたった様子です。天候とミツバチたちのおかげで、無事に良い実を着けてくれました。一見するとメロンに見えませんが、これから徐々におなじみの形になっていきます。

9.摘果作業

次に着果によって着いた実を選別して良い実だけを残していく摘果作業。当農園では、1株から2~4玉を基準に、ほかの実は全て取り除きます。そうすることで、メロンに負担を与えず、限られた実だけに栄養を配分できるため、糖度や肥大性を確保。この摘果メロンで作った漬物も、絶品でとてもおいしいですよ。

10.皿敷き作業

摘果作業が終わると、メロンの下に台座を置いてあげる皿敷き作業へ。台座を置いてあげることによって、メロン下部からの腐食を防止したり、キレイなネットが形成できたりするメリットがあります。

11.メロンのネット

着果してから20日くらい、メロンの表面に変化が出てきました。着果後15日くらいでまず縦ネットが入り、少ししてからお次は横ネット。ネットとは果実の成長期で果肉と表皮の伸長率のずれによって生じるもので、ひび割れを防ぐかさぶたのようなものです。

12.できあがり

種を蒔いてから、かれこれ4ヶ月、苦労して苦労してようやくメロンのできあがり。この120日間は、天候や気温、水管理など、私たちの中心は全てメロン。ほかの作物よりも圧倒的に手間がかかるうえ、たとえ見かけが良くても収穫するまで食味はわかりません。できあがる頃にはクタクタになりますが、良いメロンを食べていただける方々の笑顔を思うと、また来年ももっと質の高いひと玉を作ろうと心がふるい立ちます。難しい作物だからこそ、つくる喜びが大きいのかもしれません。